知名度の割に上場していない企業、というのは結構あるもんで、わかりやすいところだと出版業界や新聞社が良い例ですね。
新聞社に関しては報道の中立性の問題が絡むので脇に置くとして、日本中の人が知ってるのに小学館や集英社、講談社が「非上場」だというのは意外と面白い話です。
もっとも角川書店（角川HD）や、幻冬舎のような例外もあるけれど。
そんな風に「知名度の割に上場企業が少ない業界」としてプロバイダ（ISP）というのもあります。
インターネットがもてはやされてる中、よくよく考えてみればちょっと不思議な話。元々、大手電機（NECや富士通）や通信会社（NTTやKDDI）の子会社として設立された所が多いという経緯もあるにせよ、同じような資本関係になってるソフトメーカー等は親会社とは別に単独上場してるケースがあることを考えたら、今までが異常だったのだろうか。
勿論国内で常時接続（ADSL）環境が普及しだして「これからだ」という矢先にインターネットバブルが崩壊し、上場どころじゃなかったというのもあるんだろうけど。
ま、前置きが長くなりましたが、IIJ、So-netときて、今度はニフティですよ。
・ニフティ、12月7日に東京証券取引所へ上場(INTERNET Watch)
・ニフティ、12月7日に東証へ上場--65億円調達しコミュニティ強化へ(CNET Japan)
・ニフティが東証に上場へ(ITmedia)
・ニフティが東証上場へ、富士通が保有株式を売り出し(ITpro/日経BP)
上場先がよくわからんので（ちらっと書いてあるけど）念の為ニュースリリースを確認してみましたが、東証のどの市場になるのか（東証一部、二部、マザーズ）は、公開価格決定後に決まるそうな。
新興企業だと基本的にマザーズからのスタートだけど、ニフティの規模だと二部スタートもアリか？（でもSo-netはマザーズスタートだったんだよな…）。
しかしITmediaにあるように一時期、身売りの話も出てたし、パソコン通信からの転換（見切り、切り捨てともいうが）が遅くなってたのも確かなので、あんま儲かってないんかなと思ってたのだが…。
2005年度の業績は売上高が687億100万円、経常利益が16億2,900万円、純利益が7億4,800万円。そうでもないようだ。
2006年度通期の計画は、売上高が843億9,7000万円、経常利益が21億6,200万円、純利益が11億8,200万円を見込んでいる。(INTERNET Watch)
ちなみに比較をすると、先日上場したmixiは「売上高が18億9300万円、経常利益が9億1200万円、純利益が5億7600万円（2006年3月期の業績）」。
…で、時間がないので詳しく調べられないがSo-netは'06年4月時点で「2007年3月期の通期予想」として「売上高が480億円、営業利益が14億円、経常利益が13億円、純利益が4億円」という数字を出しています。
また先日スピンアウトして独立子会社になったNECビッグローブは「売上規模600億円」という数字を出してるので、ニフティの数字はISPとしては良くもなく、悪くもなく妥当なとこか？
また会員数だとSo-netは同上「2007年3月期予想」で「ISP会員数は325万人、ブロードバンド会員数は100万人の見込み」としており、ビッグローブは「会員数はコンテンツサービスを含めて会員数1,320万人で、ISP接続会員数はおよそ400万人規模」。
ニフティは今回「会員総数は2006年3月末で518万人。このうち、ブロードバンド接続会員数は138万人」と発表してます。
…ビッグローブ、会員数が異様だな…。はて？
「会員」の概念が各社マチマチなので、単純な「会員数」じゃなくて「ブロードバント会員数」（実際にブロードバンド環境で接続サービスを受けてる人）で比較したほうがいいのか。ただの「会員数」には無料IDの取得者の人数も入ってると思うので。
・「将来の上場も視野に」NECビッグローブ設立に関する記者会見(INTERNET Watch)
・SCN、増収減益 FTTH会員獲得コスト響く(ITmedia)'06/04/25
・So-net中間、売上高11％増 「Web2.0を加速」(ITmedia)'06/10/25
なお、需要に応じて売り出し株数に幅が出ますが『売り出し株数が最大の5万2100株になった場合、富士通の持ち株比率は64.9％に低下する』（ITpro)とのこと。
うーむ。
NTT系のISPは単独上場しないだろうし…、あとは上場しそうなISPはNECビッグローブくらいかな？
ISPの再編はここ1、2年くらい落ち着いてたけど、IIJ、So-net、ニフティ（…とビッグローブ）が上場企業になれば、もう来年とか再来年くらいからまた再編が始まるだろうか。
11月9日追記
・IIJの中間決算，SI事業好調で大幅増益(ITpro/日経BP)
ちょうどよくIIJの数字も出てたので参考までに追記しときます。
利益率が高い？
11月29日追記
・ニフティ、上場先市場が東証第二部に決定。発行・売出価格は21万円(INTERNET Watch)
二部スタートになりましたね。
へぇマザーズ無視して二部からかー、と思ったわけですが記事には、
当初、所属部は明らかにされていなかったが、これは市場第一部銘柄指定基準の1つとして、上場時の時価総額が500億円以上と定められているため。ニフティの上場時発行済み株式総数は22万7,800株で、発行価格および売出価格の21万円を乗算した時価総額は478億3,800万円となるため、市場第二部に上場が決まったと見られる。とある。
この前提で読むともう少し売り出し株数が多ければ（あるいは価格が高ければ）、500億円突破して直接一部も可能だったのかな？
そう考えると「ありゃー、二部からになったのかー」という残念な気も。
しかしまぁ1株21万円～。
個人にはちとツライ。まぁ新規上場銘柄としてはこんなもんなんか。
12月10日追記
・ニフティが東証第二部へ上場。初日の終値は公開価格を下回る(INTERNET Watch)
下回ってしまいましたね。もう少しいくと思ってたので、ちょっと意外。
・SNS「mixi」運営会社、上場へ：SKY WATCH
・「NECビッグローブ株式会社」が正式発足：SKY WATCH
・SCN、「So-net」へ社名変更：SKY WATCH
・So-netのSCN、マザーズ上場へ：SKY WATCH
・IIJ、マザーズ上場再挑戦へ：SKY WATCH
