総務省「大臣からのお願い」をネットユーザーに送信

総務省が、ネットセキュリティに関する呼び掛けをするらしい。
先週末、

・最大２千万人に一斉メール　総務省がネット安全対策で(共同通信)
総務省は２日、インターネットの情報セキュリティー対策の重要性を訴える電子メールを、主要なネット接続サービスの利用者最大２０００万人に対して、９日に一斉送信すると発表した。（略）

しかし週があけたら、具体的な記事が出ていて、
・総務省が情報セキュリティ対策啓発、6月9日に一斉呼びかけ(ITmedia)
・総務省が情報セキュリティの啓発活動，「大臣からのお願い」などを配信(ITpro/日経BP)
総務省→日本インターネットプロバイダー協会（JAIPA）→ISP各社→ネットユーザー、というルートを使うみたいだ。
一安心といえば一安心なのだが、やはり「ハァ」なんですよね。
理由は簡単で「こんな前例作ったらフィッシング詐欺に利用されんぞ」ということ。

先日、防衛庁の名前を騙るウィルスメールが発見されました。
・額賀長官や航空自衛隊になりすますウイルスメールが大量送信(INTERNET Watch)
・著名企業等の名前を騙った偽装メールに注意、IPA/ISECがウイルス被害を警告(INTERNET Watch)
このウィルス自体はどちらかというと「間違い送信」を装ってる文面のようですが、しかしこの手の政府機関やそれに準じた名称を騙るウィルスや詐欺というのは昔からありました。
海外でもあるし、日本でもある。
でも、こういうのが発生したとき、基本として「政府機関がそんなもん送るわけないだろ」というのがあったんですよね。
実際問題、小泉メルマガでも購読してない限り、政府機関からメールがくるなんて有り得ないでしょう。
ISPから「政府機関からの要請で送信しています」なんてメールは今の今まできた記憶がない（スパム以外は）。
だからこそ「政府がそんなものを出すわけがないんだから、信じるな」と言い切れたし、ウィルスや詐欺対策の基本原則だったんですが。
今回のケースでこの前提が崩れるわけです。

実際の文面がどういうものになるのか謎ですが、『加えてISP各社は，セキュリティ対策を推奨するメールをそれぞれの加入者に送信する。メールには，「情報セキュリティ対策のお願い」ページへ誘導するリンクが含まれる』（ITpro）わけですよ。
えー、いいですか、よく考えてみてください。
これが前例として出来上がります。
次に、どこかのスパマーが「総務省からの依頼でこれこれのご案内を差し上げます。詳しくはこちらをご覧ください」とやったらどーなる？
よーーく考えてみましょう。

「いやドメイン見ればわかるじゃん」という人がいるかもしれません。
しかし、ドメインの意味を理解できてる人ばかりなら、とうの昔のフィッシング詐欺なんて無くなってるんですよ。
・なぜフィッシングにだまされるのか？(ITpro/日経BP)
誰が発案したのか知らないが、個人的には「なに考えてんだお前」というのが感想。
スパムのテンプレに悪用されたらどーする気なんだろ。そこまで頭が回ってないのか、そういう危険があっても送ろうという判断なのか。
後者であることを願いますが…。

6月14日追記
何気なくフラフラしてたら、小寺信良さんがブログ（コラムではなく、ITmedia +D Blog）で言及していた。
・コデラ ノブログ: 明日はメールが2000万通(ITmedia +D Blog)
本文右上のリンク（右向きの矢印）辿って次の「メール来た？」と、その次の「意外に送ってない？」の3エントリー参照。
意外と送付されてない模様。うちにもきてません（@nifty）。

・「違法・有害サイト」の統一通報窓口が運用開始：SKY WATCH
・ゲームの「反省文」を要求するフィッシング：SKY WATCH