数年に渡る議論、紆余曲折の末、今年10月にようやく総務省からゴーサインが出た電力線通信（PLC)。
要するに「室内にLANケーブル張り巡らせるよか、電力線をそのまま通信に使ったほうがよくない？」ってことです。
しかしまぁ、ここ数年でウィルコムのPHS無線通信はかなり高速・低額化されたし、室内でのLAN配線も無線LANの機器が低価格・高速化され結構普及してるわけです。
なのでもう今となってはもういらねーんじゃねーのという声も多々…。
認可されたばかりなのに、もう悲観的なサービスというのもどうかと思うんですが、それでもゴーサインが出たばかりなのに早速、松下電器が「電力線通信アダプター」（モデムというほうがわかりやすいのか？）を発表し（12月発売）、ケイ・オプティコムなどが無償のモニター募集を開始しサービス開始に向けて着々と準備中なわけです。
「で、実際どーなのさ？」と思うわけですが、ITproに検証記事が出てました。
・【速報】話題の電力線通信アダプターの実力を検証！(ITpro/日経BP)
結論というか感想からいくと、「やっぱダメなんじゃないの？」。
ノイズに弱い、というのは散々言われていますが、しかし好条件下の最大速度で「31.2Mbps程度」（松下電器の公式発表では「理論上の最大速度は190Mbps、実環境で最大55Mbps」）。
携帯電話の充電器などのACアダプタがコンセントに接続されてるだけで、そのノイズの影響を受け速度が大幅減（20Mbps以下)。
「ノイズ発生源」が通信アダプタを繋いでるコンセントとは別のコンセントに繋がっていても（つまり一つのコンセントを、通信アダプタ専用にしても）速度減。
検証記事の速度表を見ると、実生活で電化製品の使い方を考えたら、たぶん10Mbps程度が平均値になるんだろうから…。
…どうだろう。
アダプタの価格（予想実売価格）は、親子機の2台セットが2万円前後。増設用が1台で1万3000円前後だそうです。
無線LANなら不要になれば転売もできるけど、このアダプタは……なぁ…なんて考えると、かなり微妙なお値段。
まぁ今後、時間と共にノイズ耐性はあがっていくだろうし、価格も下がってくだろうけど、問題は「鶏が先か卵が先か」で。
そもそも普及する前にゴニョゴニョ…。どうなんだろう…。
ちなみにITproには特集カテゴリが用意されてるので、PLCについて興味ある人は一通り眺めてみると参考になると思います。
・高速電力線通信（PLC）特集(ITpro/日経BP)
12月2日追記
・国内初の高速PLCアダプタ「BL-PA100」の機能をチェック(Broadband Watch)
こちらはオフィスビル内での検証記事。
～20Mbps程度という結果は同じだが、「家庭よりオフィスのほうがノイズが多いはず」と考えるか、「オフィスビルの施設のほうが家庭よりもマシなはず（ノイズが少ないはず）」と考えるかで、捉え方が変わりますね。
とりあえず、～20Mbps程度というのは正しいようですが。
12月12日追記
・清水理史の「イニシャルＢ」第224回(Broadband Watch)
これもテスト。なかなかいい速度が出てます。
ただ「携帯の充電器が鬼門」ってのは確定なようですね。
12月14日追記
・元麻布春男の週刊PCホットライン：初のPLCアダプタ「BL-PA100KT」を実環境で試す(PC Watch)
内容的には大差なし。ただ、
現在のPLCアダプタは、工事不要にするため、分電盤にフィルタなどを用いていない。PLCのデータは128bit AESによる暗号化が行なわれているから、分電盤経由で他へ漏れた信号の内容が読み取られる恐れはないものの、信号自体は外部へ広がっているものと思われる。その影響を小さくするには、ある程度出力を絞らざるを得ないし、そうすると離れたコンセントでの通信速度が低下することも避けられない、ということなのだろう。…という一文に納得してみる。
なるほどねー…。
12月25日追記
・解禁された高速PLCでシアワセになれるか？――パナソニック「BL-PA100KT」 (ITmedia)
これで主要サイトのレビュー記事が出揃ったか。
'07年2月8日追記
・槻ノ木隆の新製品レビュー:松下電器産業「BL-PA100KT」(Broadband Watch)
「築20年のアパート」という、在る意味「とても現実的」な環境下でのテスト記事です。
ノイズ測定なんかもしてあって、一番「身近」なレビューかも(笑)。
