「"伝説のハッカー"という呼び方に相応しい人物は誰か?」と聞いたら、大抵の人が挙げるだろう名前が「ケビン・ミトニック」。
ダレソレ、と思った人は、この記事自体読み飛ばしてください(笑)。
ケビン・ミトニックはもう服役を終え自由の身になってるわけですが、CNNにインタビュー記事が。
・「社会に役立てて幸せ」 元大物ハッカーが心境語る(CNN)彼に関しては色々な噂(伝説)があって、だからこそ「伝説のハッカー」なわけですが、
「自分の前歴や技能を社会のために役立てることができて、本当に幸せだ」――かつて「史上最悪のハッカー」と恐れられ、5年間服役した後にネット・セキュリティー企業を設立したケビン・ミトニック氏がこのほど、CNNとの電話インタビューで心境を語った。 (略)
―ケビン・ミトニックをめぐっては数多くの伝説があるが、具体的にどこが間違っているのか。他にも「昔より今のほうがハッキングは容易(に見える)」「オンラインバンクを利用するより、店の店員にクレジットカードを渡すほうが危険」なんて答えていて笑ってしまった。
「FBIに忍び込んだなどという説は、映画と同じ作り話。好奇心から大企業のシステムに侵入した過ちは認めるが、当時新聞が危険人物だと書き立てたため、私はすっかり『オサマ・ビン・ミトニック』に仕立て上げられてしまった。あのような報道が流れなければ、起訴されることもなかったと思う。(略)」
最後に、
――ハッカー時代を懐かしく思うことはあるか。と答えてる。
「とんでもない。今の生活に満足しているし、若いころはばかなことをしたと後悔している。社会のために技能を活用できる機会に恵まれたことを、感謝するばかりだ」
服役したことで更正したというより、単に年取っただけかな。
日本でもサブカル系の本で「え゛ー?」というようなこと書いてた「ハッカー」な人達も、セキュリティ会社作ったりしてて、それと同じか。
ハッキング行為はITヲタクの暴走行為。若気の至り。
問題は、バイクで暴走行為しても道交法違反で警察署で説教されるだけで済むけど、「IT系の暴走族」の場合、鯖を落としたりすると「ごめん、ちょっと若気の至りっ」とかかわいく言ってもも起訴されたり、民事で損害賠償請求されちゃうってことだ。
泣いて謝れば済む暴走族のほうがマシ?(バイク暴走も人ひいちゃったりすると大変なことになるけどね)。
ヲタクは大抵孤独なもんで、人付き合いを嫌ったりしますが、その中でも更に孤立主義の人は、会社を作ったり就職することもできず、オープンソースコミュニティにも入れず、結果的にボット(スパイボット)プログラム組んだりしてるんだろうなぁ(単に金目当てでやってる人もいるようだが)。
ケビン・ミトニックについては今までも散々、「マスコミの誇大な"宣伝"」だという指摘はされていて本も沢山出てますが、そういうのも全部含めての「伝説」か。
各国でサイバー犯罪に対する取り締まりが厳しくなってる以上、今後、ケビン・ミトニックみたいな「大物」は出てこないだろうから、彼は永久に(色んな意味で)「伝説のハッカー」であり続けるんだろうな。
こういう話すると「いや"ハッカー"という言葉の意味は…」という人がいますが、勿論その辺のことはわかった上での話ですんで、そこは一応。
ちなみに私は、彼の名前を最初に知ったとき「ミニトック」と覚えてしまったため、今でも「あれ、ケビン・ミトニックだっけ? ケビン・ミニトックだっけ…?」と混乱してしまいます。
追記
ふと「昔(90年代)出てた"ケビン・ミトニック本"は、今どうなってんだろう?」と思ったので調べてみたところ、
・FBIが恐れた伝説のハッカー(上) (ジョナサン・リットマン 東江一紀/草思社)(楽天ブックス)
・FBIが恐れた伝説のハッカー(下) (ジョナサン・リットマン 東江一紀/草思社)(楽天ブックス)
『FBIが恐れた伝説のハッカー』は今でも新刊で買えるんだな。
下村努氏の書いた『テイクダウン』(徳間書店)とか、マスコミの報道に疑問を呈した『ハッカーを撃て』(ジェフ・グッテル/TBSブリタニカ)は、新刊では売ってないが古本で出回ってる様子。
結構時間が経ってるので安い文庫版が出てたりしないかと思ったんだが、出てないのだな、きっと。
幻冬舎か、別冊宝島文庫あたりで出してくんないだろうか。
'08/05/16 追記
この記事は'05年に書いたものです。当時のCNNの元記事は既に削除されていますが、Internet Archiveにて閲覧可能です(文字化けする場合は「EUC-JP」を指定すれば読めます)。