まぁ面白いといえば面白いのだが。
・ヤフーとアルプス社、Yahoo!地図情報を通じて地図更新情報を募集(PC Watch)
第一報見て思ったのは「で、報酬とかは？」ということ。
地図の情報の正確さ、更新の素早さは、確実に地図会社の「利益」になるわけです（今回はアルプスと、それを掲載するヤフーの利益）。
確認作業はアルプスのほうでやるようですが、それにしたって自分達で0から調べるより、貰った情報を調べるほうがコスト（調査時間）は圧縮できる。
で、ユーザーからそんな「情報」をもらって自分達は利益出しといて還元はしないのか？ と。
よくわからんかったのでスルーしてたら、CNETの記事に、
・「いつでも正確なYahoo!地図」は口コミで--ヤフーとアルプスが実験(CNET)だとさ。
（略）投稿された情報は、アルプスが1件1件確認し、正確な情報と認めれば順次地図に反映される。投稿に関しては、対価や謝礼などの支払いは一切ない。（略）
……アホか？
なんで無償でアルプスの会社の利益のために働かないとないんだ？ ユーザーになんの利益が？
勿論、ネットユーザーは直接的な金銭的利益のためだけに動くわけじゃない。タダ働きでも善意でアレコレやったりする。
これは私もそうだし、他の人もそうだろう。
しかしだな、主催者がそれによって直接的な利益を得るなら話は別だろ。
ユーザーがタダ働きで情報をあげる→アルプスの地図の精度があがる→アルプスの利益に繋がる、わけです。
ネット地図であっても利用者数が増えれば当然、そこに掲載してる広告の料金は上がるので利益になる。
でもユーザーには1円たりとも還元されない（自分の情報がネットに掲載される、という自己満足はあるとしても）。
なんでユーザーがアルプスの会社の利益のためにタダ働きする必要が？
「ネットの善意」の象徴として持ち上げられるものは幾つかあるが、例えばウィキペディア。言わずと知れたネット百科事典。
多くの人がタダ働きで手を貸してるわけですが、しかし、これ、初めからどこかの出版社が主催して、「最終的にはこれを紙に印刷・出版します。利益？ 私の独り占めです」なんてほざいたら、どれだけ参加者がいたのか。
非営利団体・活動になら協力しても、営利を目的とした団体・活動にホイホイと手を貸すような人なんて、そうそういません（「その利益でサーバーを維持するんです」とかいう場合は例外として）。
ウィキペディアはあくまで無償でネット公開され続けることを前提に多くの人が参加するわけです。他のユーザー参加のプロジェクトだって大抵はそうでしょう。
それは自分や社会の利益にもなるし「そういうボランティアに協力すること」が自尊心にもなるから参加するわけです。
しかしこれは？
営利が第一目的なのに「謝礼一切無し」ときた。「ネットユーザー、バカにしてるのか？」とすら思ってしまう。
今までもこの手のことをする企業が幾つかあったが、総じて「人をバカにしとんのかお前」だ。この手の企画はどうしても「なに、情報載せたいの？ だったら載せてあげようか。じゃあ情報よこしなさいよ」的高慢さが見え隠れして、なんとも気に食わない。
それを打ち消すために利益を得る側が提供するのがプレゼント・謝礼だろう。
別に全員に配る必要はない。そんな非現実的なことは言わない。あくまで「正確な情報提供者の中から、毎月抽選でn名に商品券プレゼント」とかで良いと思うのだ。
それがユーザータダ働きさせる企業の最低限の良心ってもんだろうし、それだったらボランティア精神で（＋商品券当たったらラッキー、的気持ちで）参加する人は多々いるだろう。
それとも、アルプスの社員は道を歩いていて困った人がいたら、サイフを丸ごと渡すような人格者ばっかりなのだろうか。
道行く人かフラリと訪れて「すいみせん、地図がどうしても必要なんですが、買う金がないんです」と泣きついてきたら自社の地図をタダで配るようなお人好しな会社なのだろうか。
もしそうなら、こんな企画をするのも頷けるし、世の中の人はアルプス社を助けてあげるべきだ。
…勿論、私は「んなわけねーだろ」と思うので、絶対に手伝わないが。
PS:但し、脱サラして飲食店等を新規出店する人（経営者側）にとっては、かなり有益だとは思う。
