大容量オンラインストレージサービス「はこ箱」が正式に終了となりした。
昨年末の終了発表以降、大手のメディアはこのことについて一切報道せず、「なんで終了?」状態でしたが、ITmedia.にようやく記事が掲載されました。が…なんつーか…。
・高速ダウンロードの11Gストレージ「はこ箱」、1年弱で終了の真相(ITmedia)…ただの言い訳。
(略)運営元のエスケイサイバーパスによると、ユーザー数は好調に伸び、サービス終了時点で約20万人。しかし無料ユーザーが多く、採算が合わなかった。
「韓国では成功したサービスなのだが」と担当者は悔しがる。韓国版は5~6年前にサービスイン。自作映像やデジカメ画像などを交換するスペースとして利用が進んだ。大手ポータルなどと提携し、数百万人のユーザーを獲得。コミュニティ掲示板用の“資料室”として利用されるなど、ビジネス形態も広がっていた。
日本のユーザーの多くは、小容量のテキストファイルなどをセキュアに交換するためのスペースとして利用。高速ダウンロードを必要とせず、収益に結びつかなかった。「日本はブロードバンド普及率こそ高いが、ネットコミュニケーションはまだまだテキストメインだと痛感した。DVカメラやデジカメユーザーも多いが、自作の映像や画像をネット経由でシェアする文化は育っていないようだ」(担当者)。
単に見通しが甘かっただけだろう?
二つ、突っ込みを。
まず、あんたら日本じゃ「大手ポータル」と提携してないじゃん?
「しようとしたけど相手にしてもらえなかった」と言うかもしれないが、サービス開始した後一年かそこらの実績がなければ相手してもらえないのは当然だし、大手と組めないとユーザー数増加が見込めないのは何処の国でも一緒だろう(本国じゃ同じ「財閥系」なら簡単に提携できるのかもしれないが)。
もう一つ。
「コミュニティの資料室」「自作の映像や画像をネット経由でシェアする文化」。
それは本当に自作か? 著作権的にクリアしてるのか?
韓国のネット上で違法ソフト・ファイルが横行してるのは周知の事実だ。
例えば、小説や映画、ゲームを題材にしたコミュニティでファイルを共有する。それはアリかもしれない。
しかし普通に考えて、その行為は著作権的にかなりアヤシイ。
テキストファイルなどの小さい容量のものならともかく、有料オプションが必要になるほどの大容量の資料ってどんな「資料」だろうか…?
簡単に思いつくのはテレビや映画の動画だが、そんなものを不特定多数間で共有するのは違法である。
また自作の画像や映像、ソフトを不特定多数の人相手に公開する場合、ファイル共有サービスなんてもんを使うだろうか? 常識的に考えて、Webスペースを借りて公開するんじゃないか?
もし帯域制限等の問題があるなら、自鯖を立てるんじゃないのか? それこそが本当の意味でのブロードバンド時代のネットの在り方だろう。
もしくは、BT型のP2Pでもいい。
唯一合法的で高速サービスが必要な需要があるとすれば、例えば子供の運動会の動画を共有サーバーにあげて、それを遠隔地の親類・祖父母が落として見る。
それくらいのものではないか。
勿論、タテマエとホンネが別なのはいいとして、そのビジネスモデルの失敗を「自作の映像や画像をネット経由でシェアする文化は育っていないようだ」なんていうのは厚顔無恥ではないか?
本当に共有に必要なものは、大体ビジネス用のテキストや資料で、大容量はあまり必要じゃない(=高速サービスは不要)と簡単に予想できる。
私は、その辺のことを承知の上でサービスを開始したんだと思っていた。
だから、興味深いビジネスモデルだと思ってたし、サービス終了と聞いて驚いたのだが、どうもこれを読む限り、それ自体が私の勘違いだったらしい。
「はこ箱」がサービス終了したのは、単に経営陣の見通しが甘かった。
それだけか。急な中止だっただけに、もっと政治的、あるいは法的な圧力でもかかったのかと思ったのだが…。
需要を掘り起こせなかったのを他人のせいにして一年も我慢せずに逃げたのは、やはり見通しが甘かったのだろう。ハナっから数年は我慢を続ける覚悟で、少しずつでも需要を刺激する「啓発」活動をしていけば、黒字転換できた可能性があったのだから(リスキーな分、成功したとき一番儲かるポジションだ)。
サービス終了の理由については、もっと別な言い方もできるだろう。即ち、
「はこ箱」は、Winnyに負けただけ。
・『はこ箱』1月24日でサービス終了:SKY WATCH
・10GBまで無料保存できるオンラインストレージ:SKY WATCH
・300MB/300円からのファイル共有サービス:SKY WATCH