5月30日追記：
一部、不正確な記述がありましたので、修正の上補足しています。以前読んだことがある方は文末の追記を参照のこと。
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「パイオニアの子会社がデータを無断流用」。
ゼンリンがインクリメントPを提訴したとき大騒ぎになった民事裁判で、和解が成立した模様。
・地図の著作権侵害で訴えられていたインクリメントPとゼンリンが和解（INTERNET Watch）
・住宅地図訴訟でゼンリンとインクリメントPが和解（ITmedia）
「データ流用を認めその賠償として和解金の支払い（金額非公開）をする」ということでゼンリン側の事実上の全面勝訴。
不正確でしたので、上記個所を以下の通り修正致します（'05/05/30）
「社内でのデータ複製を認めその賠償として和解金の支払い（金額非公開）をする」ということでゼンリン側の勝訴と見れるかと（但し肝心の地図DB自体に流用していたかどうかは不詳。後述）。
日本の裁判での「和解」は、当事者同士がホントに心から望んで和解してるんじゃなくて、裁判長が頃合を見て、不利なほうの弁護士呼んで「これ以上やっても勝てないんだから和解しちゃいなさいよ。最後までいくと賠償金高くつくよ」と諭し、有利なほうの弁護士に「もう勝ちは目に見えてるんだからこんなもんで手を打ちましょうよ。公判維持するのも大変でしょう」とやり、両方しぶしぶ妥協して「和解」するのが日常なわけですが（争ってたら本当に十年裁判になるので、相当な対立がない限りは妥協せざるをえない）。
昔よりは「迅速」化されてるとはいえ、やっぱり民事裁判の審理はまだまだ遅いなという印象。
小さい会社ならたまらなよなぁ…。
'05年5月30日追記
記述が不正確ではないかと指摘がありましたので、上記の当該個所（取り消し線部分）を修正の上、補足致します。
・インクリメントP、地図データベースに著作権侵害はないとコメント（RBB Today）
・インクリメントP、ゼンリンの住宅地図の引用を認めたものの著作権侵害については否定（RBB Today）
上記が訴訟発生時点でのインクリメントＰ側の主張。
・盛岡地裁、ゼンリンの訴えを受けインクリメントPに対し証拠保全実施（INTERNET Watch）
・ゼンリン、地図の著作権侵害で「MapFan」のインクリメントPを提訴（INTERNET Watch）
こちらがゼンリン側の主張と動き。
インクリメントＰ側に立てば「参考と製品比較のために購入したものを無断コピーしていたことと、地図作成の際に施設名等を参考にしてたのは認めるが、違法な流用はしてないし、それが認められた」という和解内容になります。
つまりゼンリン側の主張する「間違い部分の重複」等は合法的な「引用」の結果であって、違法な流用（著作権侵害行為）ではなく（道義的にはともかく）法的な問題はなかった、ということになります。
地図DB部分については、パイオニアのリリースに一言言及があるだけで、それ以上のものがないため、結局どちらの主張が有利とされた上での和解になったのかは不明です。
私は「どちらにしてもゼンリン側の勝訴だろう」という取り方をしますが、提訴時点での RBB Today.の記事（インクリメントＰの主張）を前提にすると、
「和解内容にに明文化されてる違法コピー部分については始めから認めていて争点になってない。争点になってたのは地図DB部分についてだけなのだからゼンリン側の実質敗訴だ」
…という見方になります。
この場合は「ゼンリンの勝訴」ではなく、逆に「ゼンリンの実質敗訴」という言い方になります（争点になった地図DB部分についてはインクリメントＰ側の主張に沿う声明になっているため）。
また、ゼンリンは提訴の時点では前述のニュースソースの通り、著作権侵害を主張していたものの、実際の裁判においては「著作権侵害」ではなく、「営業を邪魔する行為」の不法性を主張したという話もあります。「地図の著作権」についてはかなり難しい部分があり、ゼンリン側は「地図の流用は著作権侵害だ」という主張はできなかったのではないか、という話です。
2003年09月25日付『日経産業新聞』において、『カーナビ用地図への流用については「営業を邪魔する行為」として民法違反（不法行為）で提訴した』という報道がされてるようですが、この辺は示せるネット上のニュースソースがないため、あくまで参考として。
また、2003年10月08日付け『日経産業新聞』の『ゼンリンＶＳパイオニア子会社、「事実の集大成」著作権争う』という記事を読むとわかりやすいとの情報も頂いています。
興味がある方は、上記の9月25日の報道と併せて調べてみると良いかと思います。
参考資料：
・Lawyers Square；地図に著作権はありますか?
・当社が訴訟提起した著作権侵害事件の和解による終了のお知らせ：ゼンリン
・インクリメントＰに対する訴訟の和解成立について：パイオニア株式会社
当方の認識不足で初出の記事について誤解を招く部分があったことを謝罪の上、修正・補足させて頂きます。
また親切な指摘をして頂いた方に改めて感謝致します。
