言われてみれば…という話。
・「携帯電話層」への対応迫られる、米世論調査会社(AP/CNN)(注記::記事末尾に有効なリンクを貼り直しています)これはアメリカでの話ですが、言われてみれば日本でも似たようなもんだよね。
「都会に住む独身の若者で、度々引っ越しし、多数が借家住まい」といった人たちの多くが、固定式を引かず、携帯電話しか所有しないことから、世論調査会社は「携帯電話層」と呼称しているが、アンケート調査などで追跡が難しい事から、対応策に頭を抱えている。若年層のし好などの把握が必要な時、影響が出るとしている。
世論調査の多くは、最も効率的な電話方式だが、回答は得られにくくなっているのが現状。これに加え、携帯電話所有者が調査目的の着信を嫌がることも悩みの種で、携帯電話番号の入手方法を逆に聞いたり、何も言わずに切られてしまう例も目立つ。 (略)
一人暮らししてて、固定電話引かない人は多い。引いてても、ADSL専用で電話繋いでないとか。
電話を使った世論調査には二つ手段があって、一つは電話帳や選挙人名簿から電話番号を無作為抽出して電話をしていく方法。
もう一つはコンピューターに番号をランダム生成させて電話をかけ、応答した場合に調査をお願いする方法。RDS法、あるいは RDD法といいますが、現在主流なのはこっち。
RDS は「ランダム・デジット・サンプリング」、RDDは「ランダム・デジット・ダイヤリング」で、やってることはどちらも同じ。
これは市外局番を覗く桁数をランダム生成して電話を掛けるシステムで、090-xxxx なんて携帯の番号は生成しない。つまり「固定電話を持ってない一人暮らしの若者」の元には、そもそも電話がかからない仕組みになっている。
勿論、若い人の中にも固定電話引いてる人はいるし、この方法は「国勢調査を元に(世代の)人口比に沿ったサンプル数を得るまで電話しまくる」という力技の方式なので、偏りは出ない筈ですが、しかし、「固定電話を引かない若者」特有の思考パターンがあった場合。
つまり、例えば、保守的な若者は固定電話を引くが、革新を好む人は固定なんて引かない、なんていう傾向があった場合、「電話に出るのは保守的な若者ばかり」になるわけで、この場合、多少なりとも「調査結果」に影響が出ることになる(あくまで例えば、です)。
そう考えたとき、電話を使った世論調査は年を追う毎に「信用できない」ものに劣化しだしてるんじゃないかという気がしてくる。
ちなみに、RDD/RDS法については、「電話 世論調査 RDD」とかで検索すると詳しいことが分かるので気になる人は各自で。
この方法、テレビでも新聞でもかなり使われてる方法なんですよね。…大丈夫かいな…。
今後は、電話・面談・ネットで同時調査して、傾向を取り除いた上で相互補完させる必要が出てくるかもなぁ…。
まぁ私はそもそも世論調査結果なんて信用しないし、気にしないほうなんですが(笑)。
3月8日追記
毎日新聞が週に一回ずつテーマをかえて「日本のスイッチ」というアンケートをしてるんですが。今週発表された回答に関連のあるものがあったので。
・日本のスイッチ/117/回答数:46050 (毎日新聞)日本の調査が携帯電話にも自動ダイヤルするようにしても、米国と同じく「かけても出てくれない」問題に悩まされそうですね。
Q:突然、携帯に見知らぬ番号から電話が入ったら?
一応出る 36%
放っておく64%
'09年1月13日追記
所要あってニュースソースを漁ったら、インターネットアーカイブに記事が収録されていました。
また同趣旨のWired記事があったので貼っておきます。
・Internet archive//CNN.co.jp : 「携帯電話層」への対応迫られる、米世論調査会社
・「携帯オンリー」など電話利用の多様化が、世論調査に影響か(WIRED VISION)