本の紹介:『封印作品の謎』(安藤健二)
・世の中には『封印作品』というものが存在します。マンガ、小説、アニメ、映画、音楽…。メディアやジャンルを問わず、様々な理由で「封印」された作品。
勿論、中には法律に触れて「発禁」になった作品もあるわけですが、大抵の場合、関係者の「自主規制」により『封印』され、二度と世の中には出てきません。
臭いモノに蓋、開かずの間への監禁。
ハッキリと法律に触れて発禁になった場合は理由がわかりやすいわけですが、「自主的に」封印された場合、関係者はその理由について積極的な説明をしたがらないため、読者や視聴者、ファンはこう思います「なんで?」。
その謎を問うているのがこの本です。
・扱ってる「ネタ」は5つあり、目次から引用すると、
第1章:闇に消えた怪獣(『ウルトラセブン』 第12話「遊星より愛をこめて」)
第2章:裁かれない狂気(『怪奇大作戦』第24話「狂鬼人間」)
第3章:忘れられた予言(映画『ノストラダムスの大予言』)
第4章:禁じられたオペ(『ブラック・ジャック』第41話「植物人間」、第58話「快楽の座」)
第5章:萌える行政(“O-157予防ゲーム”)
です。
何故、どうして、どういう経緯で「封印」に至ったのか…。事細かに「事件」当時の時勢も交えて紹介されており、各作品のファンじゃなくても興味深く読める内容です。
私は『ウルトラセブン』については聞き覚えがあった程度で、他は全く知りませんでしたがなかなか楽しめました。
一番興味を挽かれたのはなんといっても『ブラックジャック』の封印の経緯。
なるほど、こういう風にしてテレビや雑誌の「放送禁止コード」は出来上がっていくのだろうなという内容。
・ただ一点説明すると、一番最後の『萌える行政』。これ一つだけ浮いてる気がします。
本を読むとわかるんですが、この著者は元産経新聞の記者。文章読むと、なるほど新聞記者らしいなと思うんですが、なんでこのテーマが紛れ込んでるか?
・記憶力がいい人なら覚えてると思いますが、数年前のこと。
ヒットした18禁ゲーム『水夏』のキャラを「流用」して、『O-157 予防ゲーム』が制作され、その制作に自治体が携わっていため(あくまで名目上のものでしたが)大騒ぎになったことがありました。
アレの「第一報」を報じたのが産経新聞であり、その記事を書いたのが当時、記者をしていたこの本の著者なわけです。
なんでアレが記事になったのか、それを書くときナニを考えて書いたのか含めて、騒動の顛末が「検証」されています。
他の作品の「封印理由」を知ってる人でも、この件について興味があるなら読んでみると面白いと思います。
まぁ個人的には本を読む限り、この著者には同意しかねる部分が幾つかあるんですけど、コトの経緯を知る分には面白いです。
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封印作品の謎 著者:安藤健二 出版社:太田出版 本体価格:1,480円 |
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・マンガならマンガ、音楽なら音楽と各ジャンル毎にまとめて書いてあるサブカル本はありますが、横断的に扱ってる本は結構少ないんじゃないでしょうか?
もし「次」があれば、音楽ネタについても触れてもらいたいですね。
各作品に興味がある人にも無い人にもオススメできます。特に「言論弾圧」とか「表現の自由」についての問題意識のある人にとっては、いい参考資料になるかと。
*『水夏 O-157』問題とは?本を読んで初めて知った人のために簡単に。 '02年(H14)11月に『夕刊フジ』が『埼玉県監修の教育ゲームに“エロゲー”/「授業にAV女優が出るようなもの」県議追及へ』というタイトルで『教育関係者からは「授業にAV女優が出るようなもの。教育の場にふさわしくない」との声も上がり、波紋を広げている』と報じた。 「波紋が広がっている」というより、「波紋を広げた」のは他でもない自分だろう、とツッコミたい。 この記事は、産経(夕刊フジ、サンスポ)系のニュースサイトZAKZAKにも掲載され、ネットで話題になったが、そもそもネットのヲタ以外にどれくらいの人がこのことに興味を持ったのか(「問題がある」と思ったのか)は謎。 紙面のスキャンを見ると、11月13日付けとなっているが当時のZAKZAK記事は11月12日付けで全文掲載されている。 当時の記事は ZAKZAKではもう読めないが、Internet Archiveのログで確認することが出来る。 ・Internet Archive:ZAKZAK 2002/11/12:『埼玉県監修の教育ゲームに“エロゲー” 』 モノの性格上、時間の経過と共に削除され、閲覧不可になる可能性がありますのでご注意を。 『水夏』がどんなもんか知りたい人はこちら→Circus HomePage(一部18禁) |

